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宅建士はなぜ「5人に1人」必要なのか——宅建業法31条の3の設置義務と求人が絶えない理由

B-TKN-06|初版 2026-08-06|改訂 2026-08-06

問い宅建業者になぜ宅建士の設置義務があり、それが求人の絶えなさとどうつながるのか。

「不動産会社は従業員の5人に1人が宅建士でなければならない」という話を聞いたことがある人は多いはずです。この記事では、その根拠となる宅建業法第31条の3の中身と、違反した場合の扱い、そしてこの制度が宅建士の求人を恒常的に生み出している構造を、出典つきで整理します。

この記事の要点

条文の中身 — 「5人に1人」の計算方法

宅建業者は、事務所その他の場所に、業務に従事する者の5分の1以上の割合で成年の専任の宅地建物取引士を置かなければなりません(宅建業法第31条の3第1項。条文はe-Gov法令検索で確認できます[1])。計算方法は次の通りです。

従業者数5分の1計算必要な専任宅建士数
1〜5人0.2〜11人以上
6〜10人1.2〜22人以上
11〜15人2.2〜33人以上
16〜20人3.2〜44人以上
21〜25人4.2〜55人以上

出典: 鮎澤パートナーズ公認会計士・税理士事務所「宅地建物取引士の設置義務と専任要件|5人に1人ルールの実務」(2025年8月18日公開)[2]を参考に当サイト編集部作成。端数は切り上げのため、従業者11人の事務所は11÷5=2.2人→3人が必要になる。

対象となる場所は事務所(本店・支店)だけではありません。10区画以上の宅地または10戸以上の建物を分譲する際の案内所、他の宅建業者の物件を代理・媒介する案内所、展示会場等のうち契約締結や申込受付を行う場所にも、それぞれ1名以上の専任宅建士の設置が求められます(同項[1])。カウント対象となる「従業者」の範囲は、代表者・役員(非常勤を除く)・正社員・契約社員・派遣社員(指揮命令関係がある場合)・アルバイト等、宅建業務に従事する者すべてです[2]

「専任」の意味と2024年の運用緩和

専任とは、原則として事務所に常勤し、他の事業や他事務所との兼業を行わないことを指します。非常勤役員やパートタイム勤務、他社勤務が主体の人は専任性が認められません[2]。ただし2024年4月、国土交通省は宅建業法の解釈・運用の考え方を改正し、専任宅建士が他の事務所の業務に従事できる場合を明確化しました。具体的には、所属する事務所で一時的に宅建業務が行われていない時間帯に限り、他事務所の業務やテレワークでの対応が認められるようになりました[2]。この改正は常駐義務の完全撤廃ではなく、「遠隔地居住での常時テレワーク」や「他社との完全兼業」は引き続き認められていません。

破ったらどうなるか — 2週間ルールと名義貸しの罰則

専任宅建士が退職・死亡・専任性の喪失などで要件を満たさなくなった場合、2週間以内に新たな専任宅建士を置く義務があります(宅建業法第31条の3第3項)。この期間を過ぎると監督処分(指示・業務停止・免許取消)の対象になります[2]

より重い違反として、宅建士資格を持たない者に名義を貸す、あるいは実際には勤務していない会社に専任宅建士として登録する「名義貸し」があります(宅建業法第13条第2項で禁止)。名義貸し側の宅建士は登録消除(5年間再登録不可)と100万円以下の罰金、借りた側の宅建業者は免許取消に加え3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。変更届の未提出も50万円以下の罰金の対象です[2]。地方の小規模事業者で「名義だけ貸す」契約が一部で指摘されていますが、行政の立入調査や税務調査での勤務実態確認などで発覚するリスクが高く、割に合わない行為とされています[2]

なぜ求人が絶えないのか — 事業者数の増加という構造要因

この設置義務が、宅建士の資格を「持っているだけで価値がある」ものにしています。不動産業を営む法人数は、令和2年度時点で約35万社。平成22年度の約30万社から10年間で1.2倍に増加しました(出典: 公益財団法人不動産流通推進センター「2022 不動産業統計集」[3])。事業者数が増え続ける一方、宅建業者は例外なく「5人に1人」の宅建士を確保し続けなければなりません。従業員数・宅建士数がともに少ない中小事業者にとっては、1人の宅建士の退職が事業継続に直結する問題になり得ます【推定・法令上の設置義務と事業者規模の関係からの推論】。

この構造が、宅建士の求人がどの年代でも一定量存在し続ける理由の土台になっています。資格手当がどの水準で設定されるかは資格手当の実データで、実際にどれだけの求人があるかは次の記事で確認してください。

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不動産業を営む法人数の推移 平成22年度約30万社 令和2年度約35万社(1.2倍) 出典: 公益財団法人不動産流通推進センター「2022 不動産業統計集」をもとに当サイト編集部作成

脚注(出典)

  1. e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第31条の3ほか)
  2. 鮎澤パートナーズ公認会計士・税理士事務所「宅地建物取引士の設置義務と専任要件|5人に1人ルールの実務」(2025年8月18日公開・2026年7月19日更新)
  3. 公益財団法人不動産流通推進センター「2022 不動産業統計集(3月期改訂)」(不動産業を営む法人数の推移)

文書番号 B-TKN-06 | 初版 2026-08-06 | 改訂 2026-08-06 | 参照した一次情報: 3件 | 本記事の推定値には【推定】を明記しています | 誤りのご指摘はお問い合わせ

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