データセンター冷却・空調容量の換算

IT負荷(kW)から「冷やすべき熱量」を出し、冷凍トン・BTU/h・kcal/h に換算します。空調機1台の容量を入れると、N/N+1/2N で必要な台数もざっくり出ます。

1. IT負荷と条件を入れる

プリセットは規模の目安のラベルで、特定の施設の値ではありません。AIラック約120kWは、GPUを72基積む液冷ラック(GB200 NVL72)の消費電力の目安です(下の表の出典)。

【推定】 余裕率の初期値 20% は、照明・人・建物の外から入る熱や将来の増設ぶんを見込む計算を始めるための仮の目安です(公的な基準値ではありません)。実際の設計では熱負荷計算をするので、設計は空調・設備の専門家に依頼してください。

2. 結果

冷やすべき熱量(IT負荷 ×(1+余裕率))kW
米国冷凍トンUSRT
日本冷凍トンJRT
BTU/hBTU/h
kcal/hkcal/h
空調機の台数(N+1)台

台数 N は「USRT ÷ 1台の容量」を切り上げた数です。空調機のカタログ容量は温度条件で変わり、kWで書かれていることも多いので、kW表記なら 3.517 で割ってUSRTにしてから入れてください(下の逆算でも変換できます)。

3. 逆算: 冷凍トン・BTU/h・kcal/h → kW

kWに直すとkW

「10冷凍トンの空調機」と書いてあっても、米国冷凍トンか日本冷凍トンかで約1割違います。資料の単位を先に確かめてください。

なぜ「IT電力=発熱」でいいのか

サーバーやネットワーク機器が使った電気は、仕事(計算)をしたあと、ほぼすべてが熱になって部屋に出てきます。だから「IT機器が何kW使っているか」が、そのまま「空調が何kWぶんの熱を取り除かなければならないか」の出発点になります。これに照明・人・建物の外から入る熱などを足したものが冷房の負荷です。このツールではそれらをまとめて「余裕率」で上乗せしています。

単位の早見(このツールで使う定数)

単位kWとの関係意味
米国冷凍トン(USRT)1 USRT = 3.517 kW12,000 BTU/h。2,000ポンド(約907kg)の0℃の水を24時間で0℃の氷にする熱量が由来。空調機・チラーのカタログで一般的なのはこちら
日本冷凍トン(JRT)1 JRT = 3.86 kW1トン(1,000kg)の0℃の水を24時間で0℃の氷にする熱量(3,320kcal/h)。製氷・冷凍などの分野で使われることがある
BTU/h1 kW = 3,412 BTU/h英国熱量単位(毎時)。海外製品の冷房能力の表記に多い
kcal/h1 kW = 860 kcal/hキロカロリー毎時。国内の古い設備資料に多い

BTU/h の正確な値は 1kW = 3,412.14 BTU/h、kcal/h は約 860 kcal/h(日本冷凍トンの定義 3,320kcal/h = 3.86kW から逆算しても約860)です。このツールでは丸めた 3,412 と 860 を使っています。

冷凍トンの定義と換算(JRT 3,320kcal/h≒3.86kW、USRT 12,000BTU/h≒3.516kW): トレーン・ジャパン「冷凍トン・COP・IPLV」(2026年10月確認)/ 1 ton of refrigeration(12,000 Btu/h)= 3.517 kW: The Engineering ToolBox「Calculating Cooling Loads」(2026年10月確認)/ 1 kW = 3,412.14 BTU/h: mathda「Kilowatt (kW) to BTU/h converter」(2026年10月確認)

N/N+1/2N とは

表記意味100kWの熱・10USRT機の例
N熱をちょうど処理できる台数。予備なし。1台止まると冷やしきれない4台
N+1必要台数に予備を1台足す。1台が故障・点検で止まっても回る5台
2N冷却の仕組みをまるごと2系統そろえる。片方の系統全体が止まっても回る8台

例は余裕率20%(熱量120kW ≒ 34.1USRT → N=4台)の場合。実際の2Nは空調機だけでなく、配管・電源・制御まで別系統にすることを指すのが一般的です。データセンターの信頼性の段階(ティア)では、最上位のTier IV が「2N または 2(N+1)」と説明されます(詳しくはガイドの章へ)。

N+1・2N の定義: Vertiv「How N+1 redundancy supports continuous data center cooling」(2026年10月確認)/ティアの説明: Wikipedia「Data center tiers」(2026年10月確認・二次資料)

ラック1本あたりの熱の目安

ラックの種類電力(≒発熱)冷凍トン換算出典・時点
一般的なラック(最頻値)11kW約3.1 USRTUptime Institute 年次調査 2026(2025年は9kW)
AI向けGPUラック(GB200 NVL72)約120kW約34.1 USRTIntrol(2025年・二次資料)

AIラック1本の熱は、一般的なラック10本ぶん以上です。空気で冷やせる量には限りがあり、ラック1本あたり30〜40kWあたりを超えると、空冷だけでは現実的でなくなり、液冷(チップに冷却板を当てる直接液冷など)が前提になっていきます。ただし一律の境目はなく、空気の流れの管理しだいで空冷の上限は変わる、とする資料もあります。

ラック密度: Uptime Institute Global Data Center Survey 2026(2026年7月)/ GB200 NVL72 約120kW: Introl(2025年)/ 空冷の限界は1ラック約40kW前後: Capacity Global(2026年10月確認)/ 一律の境目はなく30kWに近づくと液冷を検討し始める事業者が多い: Chatsworth Products(2026年)

計算式

冷やすべき熱量(kW)= IT負荷(kW)×(1 + 余裕率 ÷ 100)
USRT = 熱量 ÷ 3.517 / JRT = 熱量 ÷ 3.86
BTU/h = 熱量 × 3,412 / kcal/h = 熱量 × 860
必要台数 N = USRT ÷ 1台の容量(USRT)を切り上げ
N+1 = N + 1 台 / 2N = N × 2 台

1MW = 1,000kW。熱量・冷凍トン・逆算のkWは小数1桁、BTU/h・kcal/h は整数に四捨五入して表示します。

これはざっくりの概算です。実際の空調設計では、IT機器以外の熱、外気の温度・湿度、空調機の運転条件による能力の変化、空気の流れ、液冷と空冷の分担などを細かく計算します。本ツールの結果は規模感をつかむための目安で、設計値・性能を保証するものではありません。設備の選定や発注は、空調・設備の専門家にご相談ください。

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