厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を土台にした職業情報サイト(job tag)の数字と、資格取得のコスト・手当の実情を突き合わせて整理します。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」の溶接工ページでは、令和6年賃金構造基本統計調査を基礎とした年収の目安として約452.5万円が示されています。これは基本給・賞与・各種手当を含めた一般労働者の平均値であり、経験年数・企業規模・地域によって幅があることが前提です。同ページでは求人賃金(月額)として25.4万円という数字も並記されており、実際の求人票ベースの相場としてはこちらの方が現場感覚に近いという声もあります。
年収452.5万円という数字だけを見て「高い/低い」を判断するより、後述する有効求人倍率とあわせて「人が集まりにくい水準の賃金なのか、それとも業界内では相応の水準なのか」を見る方が経営判断には役立ちます。この比較は有効求人倍率2.67倍——溶接工の「求人が足りない」の実態を数字で読むで詳しく扱っています。
溶接工の技能を客観的に示す代表的な資格が、日本溶接協会(JWES)が運営するJIS溶接技能者評価試験です。対象材料・溶接方法・姿勢の組み合わせごとに区分があり、鋼構造物の製作現場では発注元がこの資格保有者の在籍を取引条件にすることも珍しくありません。入門にあたる特別教育(アーク溶接等の業務に係る特別教育)は学科11時間・実技10時間程度で、費用は1万円台前半からと比較的低コストで取得できます。JIS溶接技能者の上位区分になるほど試験対応の設備・材料費がかかり、企業側が受験費用を負担するケースも一般的です。
資格そのものに直接ひもづく手当額を集計した公的統計は見当たりませんでした。業界メディアの取材情報では月数千円〜1万円程度の資格手当を設定する企業例が紹介されていますが、これは【推定】の域を出ない情報として扱う必要があります。手当額を経営判断の材料にする場合は、自社の求人票・同業他社の求人票を集めて相場を実測することをおすすめします。
資格手当の相場が公的統計として整備されていない以上、「資格を取らせれば年収が上がる」という単純な図式では説明がつきません。むしろ重要なのは、①資格取得の費用・時間をどこまで会社が負担するか、②資格保有者の技能をどう配置・評価に反映するか、③その運用ルールを求人票や採用面接で言語化できているか、の3点です。人手不足が続く業種では、賃金の絶対額だけでなく「資格取得支援の有無」が採用の分岐点になりやすいという指摘もあります。
溶接工の技能伝承・マニュアル作成の考え方を体系的に知りたい方向けに、関連書籍もあわせてご紹介しています。
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