データセンターがこれ1つでわかるガイド › 第6章

建設費・人材・職種

日本はデータセンターの建設費が世界で最も高い地域です。MWあたりの単価、費用の内訳、GPUとの比較、どんな職種が何人いつ必要か、人手不足の状況を整理します。

更新日: 2026年10月11日(2026年10月時点の公開情報)

この章の要点

  1. 日本は世界で最も建設費が高い地域: 東京はUS$15.15/Wで世界52市場の1位、大阪は4位です(Turner & Townsend, 2025年11月)。
  2. 費用の約半分は電気設備: 電気48〜54%、空調などの機械22〜33%、躯体9〜14%です(Turner & Townsend 指数, 2025年)。
  3. AIのDCは中身(GPU)のほうが高い: GPUラックの費用は、建物・設備のMWあたり費用の約1.5〜3倍です【推定】。
  4. 人が要るのは建設のとき: 1棟の建設ピークは最大約1,500人、運用は約50人(米国の例)。建設業の就業者は減り続けています。

1. 建設単価(MWあたり)の比較

調査対象単価時点
Turner & Townsend「Data Centre Construction Cost Index 2025-2026」東京US$15.15/W(52市場中1位・2年連続)2025年11月
大阪US$14.12/W(4位)
参考: シンガポール/チューリッヒ/シリコンバレーUS$14.53/14.24/13.31/W
Cushman & Wakefield「APAC Data Centre Construction Cost Guide 2026」日本(東京単独ではない)US$13.0M(低)・16.0M(中)・19.2M(高仕様)/MW。前年比+20.9%2026年3〜4月
Cushman & Wakefield 米国版 2026米国・カナダUS$8.9M〜23.3M/MW(前版から平均+21%)。AI用のチップ・GPUは含まない2026年
CPG Corporation(T&T 2024年版ベース)東京・シンガポール/中国・インド約US$14M/MW/約US$6M/MW(液冷と土地を除く)2025年11月
換算の例【推定・換算】
US$15.15/W=1MWあたりUS$15.15M。IT容量100MWなら建物・設備だけで約US$15億、1ドル150円で約2,270億円です。土地、送電線などの系統工事の負担金、IT機器は別にかかります。

2. 費用の内訳(どこにお金がかかるか)

費目T&T 指数の比率
電気設備(受変電・UPS・発電機・配電など)48〜54%
機械設備(空調・冷却)22〜33%
躯体(建物の骨組み・外装)9〜14%
ゼネコンの共通費・利益など約10%

出典: ConstructConnect(Turner & Townsend 指数の紹介, 2025年)。空冷・液冷とも同じ傾向。別の解説では電気40〜50%・機械15〜20%・土地と建物15〜20%とする例もあります(二次)。

3. 建物とIT機器(GPU)の比較

MWあたりで比べると【推定】
120kWのラックを1MWに約8台置くと、IT機器は約US$25〜40M/MW。日本の建物・設備(US$13〜19M/MW)の約1.5〜3倍です。AIのDCでは、総投資の過半がGPUなどのIT機器側になります。

4. 職種一覧

職種主にいる段階主な資格日当・年収の目安
電工(電気工事士)建設第一種/第二種電気工事士東京 34,300円/日(2026年3月)。全国の電気工事従事者の年収 約551万円(二次)
配管工(空調・衛生)建設管工事施工管理技士、配管技能士東京 30,100円/日(2026年3月)
普通作業員建設—東京 27,000円/日、全国加重平均 23,605円/日(2026年3月)
特殊作業員建設各種技能講習全国加重平均 28,111円/日(2026年3月)
鳶・鉄骨工建設(躯体)とび技能士 など今回は数字を確認できず
施工管理技士(電気・管・建築)建設1級/2級施工管理技士今回は数字を確認できず
電気主任技術者建設〜運用第一種/第二種(特別高圧の受電電圧で決まる)今回は数字を確認できず
コミッショニング技術者試運転電気・機械の実務経験今回は数字を確認できず
ファシリティエンジニア(設備技術者)運用電気主任技術者、ビル管理 など今回は数字を確認できず
ネットワーク監視(NOC)運用ネットワーク機器メーカーの資格など今回は数字を確認できず
警備・セキュリティ運用警備員検定今回は数字を確認できず
リモートハンド(顧客に代わる現地作業)運用—今回は数字を確認できず

日当は国の「公共工事設計労務単価」(1日8時間)で、事業主が負担する必要経費は含みません。実際の賃金や求人の条件とは違います。出典: 東京都財務局 単価表(2026年3月)、労働新聞(2026年2月)、atsoho.com(令和5年賃金構造基本統計調査からの第三者算出・二次)。

労務単価は14年連続で上昇

適用時期全国全職種の加重平均前年度比(単純平均)
2025年3月24,852円/日+6.0%
2026年3月(最新)25,834円/日(初の2.5万円超)+4.5%

出典: 国土交通省 報道発表(2025年2月14日・2026年2月17日)。東京の電工は2024年3月の30,100円から2026年3月の34,300円へ、2年で約14%上がりました【推定・計算】(東京都財務局)。

5. 何人必要か(建設と運用)

例建設ピーク運用(常勤)出典
米バージニア州の典型的なDC 1棟(約2.3万㎡)最大約1,500人約50人(約半数は委託)JLARC(2024年12月)
米ジョージア州のDC関連雇用(2025年)28,350人5,471人州の監査(Gigafact, 2026年1月)
GW級AIキャンパスの例(Meta・カナダ アルバータ州)約3,000人300人超二次情報(2026年)
Microsoft インディアナ州の例約2,000人最大600人二次情報(2026年)

6. 人手不足と残業の上限

この章と一緒に使う計算アプリ

🏗️建設費の概算IT容量(MW)と単価(US$/W)から、建物・設備の費用を概算します。近日公開
👷人材と人件費の積算職種ごとの人数・日数・労務単価から人件費を積み上げます。近日公開
📐ラック数→MW・GWと床面積ラック数とラックあたりkWから、MW・GWの規模に換算します。近日公開
ガイドの目次(3分でわかる要点)へ戻る

出典

本文の数字は次の公開資料によります(かっこ内は資料の時点)。見通し・予測は【見通し】、推計や当サイトの換算は【推定】と書いています。

  1. @IT「DC建設コスト、東京が2年連続で最も高い市場に」(2025年11月18日)
  2. Turner & Townsend「Data Centre Construction Cost Index 2025-2026」(2025年11月)
  3. Turner & Townsend:指数の算定方法(2025年11月)
  4. W.Media:Turner & Townsend 2023年版(2023年)
  5. IREI:Turner & Townsend 指数の発表(2025年11月)
  6. IT Brief Australia:Cushman & Wakefield APACコストガイド2026(2026年4月)
  7. Cushman & Wakefield「APAC Data Centre Construction Cost Guide」
  8. IREI:Cushman & Wakefield 米国版コストガイド2026(2026年)
  9. CPG Corporation「Data Center Commercial and Beyond: A Global View」(2025年11月)
  10. ConstructConnect:データセンター建設の費目構成(2025年)
  11. Encor Advisors:データセンターの費用の解説(2025〜2026年・二次)
  12. SemiAnalysis「GB200 Hardware Architecture and Component」(2025年)
  13. Data Gravity「How Much Does an NVIDIA NVL72 Cost?」(2026年8月)
  14. 東京都財務局「令和7年度東京都工事設計単価表(一部改定版・令和8年3月)」(2026年3月)
  15. 東京都財務局 単価表(2024年3月)
  16. 国土交通省:公共工事設計労務単価(2025年2月14日)
  17. 国土交通省:公共工事設計労務単価(2026年2月17日)
  18. 労働新聞「設計労務単価を4.5%引上げ 国交省」(2026年2月)
  19. atsoho.com:電気工事従事者の年収(二次・2026年10月確認)
  20. JLARC「Data Centers in Virginia」(2024年12月9日)
  21. Gigafact:データセンターの常勤雇用(2026年1月)
  22. Metaintro:Metaアルバータ州の雇用(2026年・二次)
  23. Classet:データセンターの雇用数(2026年・二次)
  24. Uptime Institute「Global Data Center Staffing Forecast 2021-2025」(2021年)
  25. 国土交通省資料(内閣府 規制改革WG提出):建設業の就業者(2025年5月8日)
  26. 群馬労働局:建設業の時間外労働の上限規制(2024年)
  27. Data Center Knowledge「Japan's Data Center Boom」(2025年)