この章の要点
- 日本は世界で最も建設費が高い地域: 東京はUS$15.15/Wで世界52市場の1位、大阪は4位です(Turner & Townsend, 2025年11月)。
- 費用の約半分は電気設備: 電気48〜54%、空調などの機械22〜33%、躯体9〜14%です(Turner & Townsend 指数, 2025年)。
- AIのDCは中身(GPU)のほうが高い: GPUラックの費用は、建物・設備のMWあたり費用の約1.5〜3倍です【推定】。
- 人が要るのは建設のとき: 1棟の建設ピークは最大約1,500人、運用は約50人(米国の例)。建設業の就業者は減り続けています。
1. 建設単価(MWあたり)の比較
| 調査 | 対象 | 単価 | 時点 |
|---|---|---|---|
| Turner & Townsend「Data Centre Construction Cost Index 2025-2026」 | 東京 | US$15.15/W(52市場中1位・2年連続) | 2025年11月 |
| 大阪 | US$14.12/W(4位) | ||
| 参考: シンガポール/チューリッヒ/シリコンバレー | US$14.53/14.24/13.31/W | ||
| Cushman & Wakefield「APAC Data Centre Construction Cost Guide 2026」 | 日本(東京単独ではない) | US$13.0M(低)・16.0M(中)・19.2M(高仕様)/MW。前年比+20.9% | 2026年3〜4月 |
| Cushman & Wakefield 米国版 2026 | 米国・カナダ | US$8.9M〜23.3M/MW(前版から平均+21%)。AI用のチップ・GPUは含まない | 2026年 |
| CPG Corporation(T&T 2024年版ベース) | 東京・シンガポール/中国・インド | 約US$14M/MW/約US$6M/MW(液冷と土地を除く) | 2025年11月 |
- T&Tの指数の前提は、空冷・ビルド・トゥ・スーツのハイパースケール、IT負荷30〜50MWです。コロケーションや企業用は最大±15%変わり、液冷は同等の空冷より7〜10%高いとされます(米国データ基準)。土地とIT機器は費目に入っていないと読めます【推定・費目一覧からの判断】。
- 東京の単価は2023年版のUS$13.7/WからUS$15.15/Wに上がりました。2025年版の世界平均の上昇率は+5.5%(前年版は+9.0%)です。
換算の例【推定・換算】
US$15.15/W=1MWあたりUS$15.15M。IT容量100MWなら建物・設備だけで約US$15億、1ドル150円で約2,270億円です。土地、送電線などの系統工事の負担金、IT機器は別にかかります。
US$15.15/W=1MWあたりUS$15.15M。IT容量100MWなら建物・設備だけで約US$15億、1ドル150円で約2,270億円です。土地、送電線などの系統工事の負担金、IT機器は別にかかります。
2. 費用の内訳(どこにお金がかかるか)
| 費目 | T&T 指数の比率 |
|---|---|
| 電気設備(受変電・UPS・発電機・配電など) | 48〜54% |
| 機械設備(空調・冷却) | 22〜33% |
| 躯体(建物の骨組み・外装) | 9〜14% |
| ゼネコンの共通費・利益など | 約10% |
出典: ConstructConnect(Turner & Townsend 指数の紹介, 2025年)。空冷・液冷とも同じ傾向。別の解説では電気40〜50%・機械15〜20%・土地と建物15〜20%とする例もあります(二次)。
3. 建物とIT機器(GPU)の比較
- NVIDIA GB200 NVL72は1ラック約120kWで全面液冷です(SemiAnalysis)。
- 価格の推定は、ラック本体で約US$3.1M、ネットワーク・ストレージ込みで約US$3.9M(SemiAnalysis)。次の世代のGB300 NVL72は、2026年8月の発注データから実際の取引額をUS$5M弱とする分析があります(Data Gravity, 2026年8月)。
MWあたりで比べると【推定】
120kWのラックを1MWに約8台置くと、IT機器は約US$25〜40M/MW。日本の建物・設備(US$13〜19M/MW)の約1.5〜3倍です。AIのDCでは、総投資の過半がGPUなどのIT機器側になります。
120kWのラックを1MWに約8台置くと、IT機器は約US$25〜40M/MW。日本の建物・設備(US$13〜19M/MW)の約1.5〜3倍です。AIのDCでは、総投資の過半がGPUなどのIT機器側になります。
4. 職種一覧
| 職種 | 主にいる段階 | 主な資格 | 日当・年収の目安 |
|---|---|---|---|
| 電工(電気工事士) | 建設 | 第一種/第二種電気工事士 | 東京 34,300円/日(2026年3月)。全国の電気工事従事者の年収 約551万円(二次) |
| 配管工(空調・衛生) | 建設 | 管工事施工管理技士、配管技能士 | 東京 30,100円/日(2026年3月) |
| 普通作業員 | 建設 | — | 東京 27,000円/日、全国加重平均 23,605円/日(2026年3月) |
| 特殊作業員 | 建設 | 各種技能講習 | 全国加重平均 28,111円/日(2026年3月) |
| 鳶・鉄骨工 | 建設(躯体) | とび技能士 など | 今回は数字を確認できず |
| 施工管理技士(電気・管・建築) | 建設 | 1級/2級施工管理技士 | 今回は数字を確認できず |
| 電気主任技術者 | 建設〜運用 | 第一種/第二種(特別高圧の受電電圧で決まる) | 今回は数字を確認できず |
| コミッショニング技術者 | 試運転 | 電気・機械の実務経験 | 今回は数字を確認できず |
| ファシリティエンジニア(設備技術者) | 運用 | 電気主任技術者、ビル管理 など | 今回は数字を確認できず |
| ネットワーク監視(NOC) | 運用 | ネットワーク機器メーカーの資格など | 今回は数字を確認できず |
| 警備・セキュリティ | 運用 | 警備員検定 | 今回は数字を確認できず |
| リモートハンド(顧客に代わる現地作業) | 運用 | — | 今回は数字を確認できず |
日当は国の「公共工事設計労務単価」(1日8時間)で、事業主が負担する必要経費は含みません。実際の賃金や求人の条件とは違います。出典: 東京都財務局 単価表(2026年3月)、労働新聞(2026年2月)、atsoho.com(令和5年賃金構造基本統計調査からの第三者算出・二次)。
労務単価は14年連続で上昇
| 適用時期 | 全国全職種の加重平均 | 前年度比(単純平均) |
|---|---|---|
| 2025年3月 | 24,852円/日 | +6.0% |
| 2026年3月(最新) | 25,834円/日(初の2.5万円超) | +4.5% |
出典: 国土交通省 報道発表(2025年2月14日・2026年2月17日)。東京の電工は2024年3月の30,100円から2026年3月の34,300円へ、2年で約14%上がりました【推定・計算】(東京都財務局)。
5. 何人必要か(建設と運用)
| 例 | 建設ピーク | 運用(常勤) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 米バージニア州の典型的なDC 1棟(約2.3万㎡) | 最大約1,500人 | 約50人(約半数は委託) | JLARC(2024年12月) |
| 米ジョージア州のDC関連雇用(2025年) | 28,350人 | 5,471人 | 州の監査(Gigafact, 2026年1月) |
| GW級AIキャンパスの例(Meta・カナダ アルバータ州) | 約3,000人 | 300人超 | 二次情報(2026年) |
| Microsoft インディアナ州の例 | 約2,000人 | 最大600人 | 二次情報(2026年) |
- バージニア州でDC産業が支える雇用は年平均7.4万人(建設5.9万人・運用1.5万人)です(JLARC, 2024年12月)。雇用の山は建設の時期にあります。
- Uptime Instituteは、世界のDCの人員需要を2019年の約200万人から2025年に約230万人へ増えると予測していました(2021年の予測)。
- 日本で施設あたりの運用人員を示す統計は、今回の調査では見つかりませんでした。
6. 人手不足と残業の上限
- 建設業の就業者は685万人(1997年)→ 504万人(2010年)→ 477万人(2024年)。55歳以上が約4割、29歳以下が約1割です(国土交通省資料, 2025年5月)。
- 2024年4月1日から建設業にも時間外労働の上限がかかりました。原則は月45時間・年360時間。特別な事情がある場合でも年720時間以内、休日労働を含め月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内、月45時間超は年6か月までです(違反には罰則あり)(群馬労働局・岩手労働局の資料, 2024年)。
- 業界の声として、ゼネコンの手持ち工事が多く、着工まで最大3年待つ場合があると報じられています(Data Center Knowledge, 2025年)。
この章と一緒に使う計算アプリ
🏗️建設費の概算IT容量(MW)と単価(US$/W)から、建物・設備の費用を概算します。近日公開
👷人材と人件費の積算職種ごとの人数・日数・労務単価から人件費を積み上げます。近日公開
📐ラック数→MW・GWと床面積ラック数とラックあたりkWから、MW・GWの規模に換算します。近日公開
出典
本文の数字は次の公開資料によります(かっこ内は資料の時点)。見通し・予測は【見通し】、推計や当サイトの換算は【推定】と書いています。
- @IT「DC建設コスト、東京が2年連続で最も高い市場に」(2025年11月18日)
- Turner & Townsend「Data Centre Construction Cost Index 2025-2026」(2025年11月)
- Turner & Townsend:指数の算定方法(2025年11月)
- W.Media:Turner & Townsend 2023年版(2023年)
- IREI:Turner & Townsend 指数の発表(2025年11月)
- IT Brief Australia:Cushman & Wakefield APACコストガイド2026(2026年4月)
- Cushman & Wakefield「APAC Data Centre Construction Cost Guide」
- IREI:Cushman & Wakefield 米国版コストガイド2026(2026年)
- CPG Corporation「Data Center Commercial and Beyond: A Global View」(2025年11月)
- ConstructConnect:データセンター建設の費目構成(2025年)
- Encor Advisors:データセンターの費用の解説(2025〜2026年・二次)
- SemiAnalysis「GB200 Hardware Architecture and Component」(2025年)
- Data Gravity「How Much Does an NVIDIA NVL72 Cost?」(2026年8月)
- 東京都財務局「令和7年度東京都工事設計単価表(一部改定版・令和8年3月)」(2026年3月)
- 東京都財務局 単価表(2024年3月)
- 国土交通省:公共工事設計労務単価(2025年2月14日)
- 国土交通省:公共工事設計労務単価(2026年2月17日)
- 労働新聞「設計労務単価を4.5%引上げ 国交省」(2026年2月)
- atsoho.com:電気工事従事者の年収(二次・2026年10月確認)
- JLARC「Data Centers in Virginia」(2024年12月9日)
- Gigafact:データセンターの常勤雇用(2026年1月)
- Metaintro:Metaアルバータ州の雇用(2026年・二次)
- Classet:データセンターの雇用数(2026年・二次)
- Uptime Institute「Global Data Center Staffing Forecast 2021-2025」(2021年)
- 国土交通省資料(内閣府 規制改革WG提出):建設業の就業者(2025年5月8日)
- 群馬労働局:建設業の時間外労働の上限規制(2024年)
- Data Center Knowledge「Japan's Data Center Boom」(2025年)