引き方
英字で始まる言葉はA〜Z順、それ以外は五十音順に並べています。本文に出てくる数字は、各章の出典によります。
A–Z
- ASHRAE推奨温度
- 米国暖房冷凍空調学会の指針で、サーバーの吸気温度の推奨範囲は18〜27℃。法規制ではなく業界の目安です(電力と冷却)。
- BTU/h
- 1時間あたりの熱量を表す単位(英国熱量単位)。米国の空調機器のカタログで冷却能力を示すときに使われます。kWとの換算は計算アプリ「冷却容量の換算」で扱う予定です。
- CDU(冷却液分配ユニット)
- 建物側の冷水とサーバー側の冷却液のあいだで熱を交換し、流量と温度を管理する装置。直接液冷に欠かせません。
- CRAC/CRAH
- サーバー室の空調機。CRACは冷媒で冷やす方式、CRAHは冷水のコイルで冷やす方式です。
- GPU
- 大量の計算を並列でこなす半導体。AIの学習・推論の中心で、1基で数百W〜1kW超を使います(H100は700W、B200は1,000W)。
- GW・MW・kW
- 電力(瞬間の大きさ)の単位。1GW=1,000MW=100万kW。データセンターの規模はIT機器に使える電力で表します。
- GX戦略地域
- 経産省が2025年8月に設けた制度。2026年9月11日に18地域を認定し、うちデータセンター集積型は9地域です(日本の最新動向)。
- HVDC(800V直流給電)
- 交流を建物の外周で800Vの直流に変えてラックへ送る方式。銅の量と変換の損失を減らす狙いで、NVIDIAが1MW級のラックに向けて移行を主導しています。
- IX(インターネットエクスチェンジ)
- 複数の通信事業者が1か所でデータを交換する接続点。国内では東京・大阪に集まっています。
- JDCCファシリティスタンダード
- 日本データセンター協会の信頼性の基準(ティア1〜4)。地震リスクなどを日本向けに調整しています。認証ではなく自己評価で「ティア3相当」と示されることが多いです。
- MWh・TWh
- 電力量(使った電気の総量)の単位。1TWh=10億kWh。世界のデータセンターの年間消費は2024年に約415TWhでした(IEA)。
- N/N+1/2N
- 冗長化の表記。Nは必要な最小台数、N+1は予備を1台、2Nは系統ごと丸ごと二重化した状態です。
- NVL72
- NVIDIAのGPU 72基を1ラックで1台のように結ぶ液冷ラック(GB200 NVL72など)。1ラック約120kWです。
- OCCTO(電力広域的運営推進機関)
- 全国の電力需給や送電網の計画を担う機関。毎年、電力需要の想定を公表しています。
- PDU(電源分配ユニット)
- UPSから来た電気を各ラック・各サーバーへ分ける配電盤や電源タップ。
- PPA(電力購入契約)
- 発電事業者から長期間、決まった条件で電気を買う契約。原子力の再稼働を支える20年契約などの例があります。
- PUE
- データセンター全体の消費電力÷IT機器の消費電力。1.0に近いほど効率が良い指標です。日本の省エネ法では、DC業に2030年度1.4以下の目標があります。
- SMR(小型モジュール炉)
- 工場で作った小型の原子炉を組み合わせる新しい型の原子力発電。大手IT企業が長期の購入契約を結び始めています。
- TDP
- 半導体1個が想定する最大の消費電力(熱設計電力)。冷却設計の基準になります。
- Tier(ティア)
- 米Uptime Instituteの信頼性の格付け(I〜IV)。IIIは「同時保守可能」(点検で設備を止めてもサーバーが止まらない)、IVは「耐障害」(予期しない単一の故障でも止まらない)です。
- UPS(無停電電源装置)
- 停電の瞬間から非常用発電機が立ち上がるまでを、バッテリーでつなぐ装置。
- WUE(水使用効率)
- 年間の水消費量(L)÷IT機器の電力量(kWh)。単位はL/kWhで、水の使い方の効率を表します。
あ行
- アイル封じ込め(ホット/コールドアイル)
- ラックの吸気側(冷たい通路)と排気側(熱い通路)を壁や扉で仕切り、冷気と排気が混ざらないようにする工夫。空冷の効率を上げます。
- ウェルカムゾーンマップ
- 一般送配電事業者が公表する「早く電力を供給しやすい場所」の地図。国はこうした場所へのデータセンターの立地を促しています。
- 液浸冷却
- サーバーごと絶縁性の液体に沈めて冷やす方式。液体のまま循環させる単相式と、沸騰と凝縮を使う二相式があります。
- エッジデータセンター
- 利用者や工場の近くに置く小型のデータセンター。遅延を小さくしたい用途に向きます。
- オンサイト発電
- データセンターの敷地内や隣接地に発電所を置き、送電網を通さずに電気を使う方式。米国ではガス発電の例が増えています。
か行
- 外気冷房(フリークーリング)
- 冷たい外気で冷やし、冷凍機の電力を減らす方式。北海道などの寒冷地が有利です。
- キャリアニュートラル
- 特定の通信会社に縛られず、複数の回線を選べるデータセンターのこと。
- 系統接続(系統アクセス)
- 送電網(系統)につないで電気を受けられるようにする手続と工事。大容量のデータセンターでは数年〜10年かかることもあり、最大の制約になっています。
- コロケーション
- データセンター事業者が建物・電力・冷却・回線を用意し、顧客が自分のサーバーを置く貸し方。ラック単位のリテール型と、MW単位のホールセール型があります。
さ行
- 指定数量(消防法)
- 危険物ごとに決められた量の基準。軽油・灯油は1,000Lで、これ以上を置くには許可を受けた危険物施設が必要です。非常用発電機の燃料が関係します。
- 冗長化
- 故障しても止まらないように、設備や経路を予備つき・二重に組むこと。N+1や2Nで表します。
- 推論と学習
- 学習はAIのモデルを作る計算、推論はできたモデルを使って答えを出す計算。今後は推論の需要が学習を上回るという予測があります。
た行
- 直接液冷(コールドプレート)
- GPUやCPUに冷却板を当て、液体で熱を運ぶ方式。高密度のGPUラックで主流になりつつあります。
- 電気主任技術者
- 自家用の電気設備の保安を監督する国家資格者。設置者は選任して届け出る必要があります(電気事業法43条)。第三種は5万V未満、第二種は17万V未満、第一種は上限なしです。
- 特別高圧
- 7,000Vを超える受電の区分。大型のデータセンターは66kVや154kVで、電力会社の変電所から直接受けます。
な行
- ネオクラウド(GPUクラウド)
- GPUの計算能力の貸し出しに特化したクラウド事業者。AI開発企業や大手クラウドが顧客になることも多いです。
は行
- ハイパースケーラー
- クラウド大手やSNS大手など、巨大なデータセンター群を自社で建てて運用する事業者。世界の全データセンター容量の約半分を占めます。
- 廃熱利用
- サーバーの排熱を、地域の暖房・温浴施設・農業ハウスなどに回すこと。液冷では温かい水として取り出しやすくなります。
- パワードシェル
- 電力と光ファイバーを引き込んだ建物(箱)だけを貸す形。冷却やIT機器は借り手が入れ、10〜20年超の長期契約が多いです。
- 非常用発電機
- 長い停電のときに動くディーゼルやガスの発電機。国内では48〜72時間分の燃料を備える例があります。
- ビルド・トゥ・スーツ
- 1社の仕様に合わせて特注で建てる方式。構想から稼働まで18〜30か月とされます。
- ベンチマーク制度(省エネ法)
- 業種ごとにめざす効率の水準を国が定める制度。データセンター業はPUEで評価されます。
ら行・わ行
- ラック密度
- ラック1台あたりの消費電力(kW)。一般的なラックの最頻値は11kW、AIのGPUラックは100kW超です。
- リアドア熱交換器
- ラックの背面の扉に水冷のコイルを付け、排熱をその場で冷やす装置。空冷と液冷の中間の方法です。
- 陸揚げ局
- 海底ケーブルを陸上につなぐ拠点。日本では千葉・三重・茨城などにあり、北海道・九州・和歌山への分散が計画されています。
- 冷凍トン
- 冷却能力を表す単位の1つ。冷凍機やチラーの能力表示に使われます。kWとの換算は計算アプリ「冷却容量の換算」で扱う予定です。
- レイテンシ(遅延)
- 通信の行き来にかかる時間。光ファイバーでは片道で約5μs/kmが物理的な下限です。
- ワット・ビット連携
- 電力(ワット)と通信(ビット)のインフラを一体で整えようという国の取り組み。総務省と経産省の官民懇談会が2025年6月に「取りまとめ1.0」を出しました。
この章と一緒に使う計算アプリ
⚡電力・電気代(PUE)IT電力とPUEから、施設全体の電力と年間の電気代を概算します。近日公開
❄️冷却容量の換算(冷凍トン・BTU/h)発熱(kW)を冷凍トン・BTU/hに換算し、冷却の規模をつかみます。近日公開
📐ラック数→MW・GWと床面積ラック数とラックあたりkWから、MW・GWの規模に換算します。近日公開
出典
本文の数字は次の公開資料によります(かっこ内は資料の時点)。見通し・予測は【見通し】、推計や当サイトの換算は【推定】と書いています。
- 資源エネルギー庁「データセンター」特設ページ(2026年)
- Rittal:PUEとISO/IEC 30134-2の解説(2026年10月確認・二次)
- Microsoft Azure Blog:水とエネルギーの測り方(WUE)(2026年10月確認)
- Wikipedia「Data center tiers」(2026年10月閲覧・二次)
- Moduledge:冗長化 N, N+1, 2N(2026年10月確認・二次)
- CommScope「Latency in optical fiber systems」(2026年10月確認)
- TechTarget:データセンターの温度・湿度の指針(2026年10月確認)
- NVIDIA Technical Blog:800V HVDC(2025年5月)
- 埼玉県:危険物の指定数量の資料(2026年10月確認)
- 経済産業省:電気主任技術者の制度(2021年4月)
- Uptime Institute「Global Data Center Survey 2026」(2026年7月)
- 総務省:ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0(2025年6月)