データセンターがこれ1つでわかるガイド › 第3章

日本の最新動向

日本では、東京圏・大阪圏への集中と電力の制約を背景に、国がデータセンターを脱炭素電源の多い地方へ分散させる方針を打ち出しています。市場規模、電力需要、政策、主な案件を2026年10月時点の公開情報で整理します。

更新日: 2026年10月11日(2026年10月時点の公開情報)

この章の要点

  1. 市場は2桁成長の見通し: 国内コロケーション市場は2024年の9,717億円から2029年に1兆7,817億円へ(年平均12.9%)【見通し】(IDC Japan, 2025年11月)。
  2. 東京圏への集中と電力の制約: 国内DCの約9割が東京圏・大阪圏にあり(総務省 情報通信白書 令和7年版)、千葉県印西・白井エリアなどには供給できる量を超える申込が集中しています(資源エネルギー庁, 2025年10月)。
  3. 電力需要の想定は上振れ: DCと半導体工場の新増設で、最大需要電力が2030年度に+420万kW、2035年度に+762万kW増える想定です【見通し】(OCCTO, 2026年1月)。
  4. 政策は「地方分散×脱炭素電源×送電網の先回り」: ワット・ビット連携(2025年6月)、GX戦略地域のDC集積型9地域の認定(2026年9月11日)、補助金・助成が並行しています。

1. 市場規模(調査会社ごとの数字)

調査対象数字時点
IDC Japan国内コロケーション市場2024年 9,717億円 → 2029年 1兆7,817億円(年平均12.9%)【見通し】。2029年にはハイパースケール向けが40%超2025年11月
IDC Japan(総務省 情報通信白書が引用)国内データセンターサービス市場(売上高)2023年 2兆7,361億円 → 2028年 5兆812億円【見通し】2024年10月
富士キメラ総研国内データセンターサービス市場2025年 4兆7,231億円(見込み)→ 2030年 6兆8,189億円【見通し】2026年
IDC Japan国内事業者DCの建設投資(新設・増設)2028年に1兆円超。2026年に2024年の約2倍【見通し】2025年4月
IDC Japan国内事業者DCの電力容量2024年末 2,365.8MVA → 2029年末 4,499.6MVA(年平均+13.7%)【見通し】2025年2月
JLL日本のDC市場(売上ベース)2024年 234億米ドル → 2030年 334億米ドル(年平均6.7%)【見通し】2026年5月

「コロケーション」「データセンターサービス(クラウドを含む)」など、対象の範囲が調査ごとに違うため、数字どうしを直接は比べられません。

取引も大型化しています。2026年5月には、大阪圏の40.5MWのハイパースケールDCが1,560億円で売却され、単一資産のDC取引として日本で過去最大とされました(JLL, 2026年5月11日)。

2. 容量と地域の集中(東京圏・印西)

1つ目と2つ目は集計した会社・範囲・時点が違うため、数字がずれています。

3. 電力需要の見通し(OCCTO・エネルギー基本計画)

年度DC・半導体工場の新増設による最大需要電力の増加【見通し】
2026年度+83万kW
2030年度+420万kW(4.2GW)
2035年度+762万kW(7.62GW)

出典: 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)」(2026年1月21日)。同じ想定で、2035年度の全国の最大需要電力は1億6,460.1万kWです。前回(2025年1月)の想定では、2034年度に約715万kW増えると見込んでいました。

4. 政策

ワット・ビット連携(電力と通信を一体で整える)

GX戦略地域(データセンター集積型)

補助金・助成

制度中身規模
総務省 デジタルインフラ強靱化事業(基金)東京圏・大阪圏以外のDC・海底ケーブル等を補助(補助率1/2)予算は合計1,329億円
経産省 データセンター地方拠点整備事業費補助金(令和5年度)土地造成・電力通信インフラ・建屋設備の一部を補助(補助率1/2)ソフトバンクの苫小牧(北海道)に最大300億円(総事業費650億円超)
経済安全保障推進法「クラウドプログラム」国内のAI計算基盤(GPUクラウド)への助成2024年4月に5件・上限計約725億円(さくらインターネット約501億円ほか)。ソフトバンクは2024年5月に上限421億円

出典: 総務省事業ページ、経産省募集要領(2023年9月)、ソフトバンク(2023年11月・2024年5月)、Impress Watch(2024年4月)。このほか、省エネ法でDC業にPUE(電力効率)の目標と基準が設けられています(電力と冷却の章)。骨太方針2025には「データセンターのREITへの組入促進」が入りました(ARES)。

5. 海外の大手クラウドの対日投資(発表ベース)

会社発表の中身発表時期
AWS2027年までに東京・大阪のクラウドインフラへ2兆2,600億円2024年1月
Microsoft2年間で29億ドル(同社の日本で過去最大)2024年4月
Oracle10年間で80億ドル超2024年4月
Google2024年までにネットワークインフラへ1,000億円。印西のDCは2023年3月に稼働2022年10月

2025〜2026年に新たな対日投資の発表があったかは、今回の調査では確認できていません。

6. 主な案件(MW・時期・状況)

案件場所規模時期状況(2026年10月時点の公開情報)
KDDI 大阪堺データセンター大阪府堺市(旧シャープ堺工場)最大受電 約50MW2026年1月22日稼働。GB200 NVL72を直接液冷で運用
ソフトバンク 堺AIデータセンター大阪府堺市(旧シャープ堺工場)約150MW(将来250MW超)2026年中の稼働目標稼働したかは確認できていない
ソフトバンク 北海道苫小牧AIデータセンター北海道苫小牧市受電300MW超まで拡大の見込み2026年度開業予定稼働したかは確認できていない
さくらインターネット 石狩北海道石狩市2027年12月末までにGPU約8,000基の計画2025年6月にコンテナ型DCが稼働2026年2月にBlackwell GPU約1,100基のAI基盤が稼働
東急不動産 石狩再エネデータセンター第1号北海道石狩市受電15MW(再エネ100%)2026年3月完成2026年8月に一部稼働の予定と発表
NTTデータ 京阪奈 OSK11京都府精華町IT負荷30MW2026年2月開業
MCデジタル・リアルティ NRT14千葉県印西市最大31MW(キャンパス全体約100MW)2026年4月開業。ラックあたり最大150kW(当初予定から約4か月遅れ)
NTTデータ TKY11 / TKY12千葉県白井市50MW / IT約200MW(6棟)2027年4月 / 2030年以降建設・計画
秋田のAI向けDC構想秋田市北部の工業団地最大500MW(整備費約2兆円規模とされる)2030年代前半の稼働目標構想段階。まず2027年末に1.5MWの小型DCの計画
薩摩川内のAI向けDC鹿児島県(火力発電所跡地)受電350MW2026年度着工・2032年度までに本格稼働の目標計画段階
糸島のDC計画福岡県糸島市最大300MW2029年初めに2棟、2034年に全6棟の目標2025年の報道時点の計画(現状は未確認)
双葉町の分散型AIデータセンター福島県双葉町—2026年12月運用開始予定経産省の立地支援事業に採択

出典: 各社の発表と報道(本ページ末尾の出典一覧)。国内の不動産会社の参入も続き、三井不動産はDC事業への累計投資が6,000億円超・7棟を開発中と発表しています(MONOist, 2026年7月)。計画値は変わることがあります。

7. 課題と論点

この章と一緒に使う計算アプリ

📍立地チェックリスト電力・回線・災害・用途地域・危険物などを順に確認します。近日公開
📐ラック数→MW・GWと床面積ラック数とラックあたりkWから、MW・GWの規模に換算します。近日公開
⚡電力・電気代(PUE)IT電力とPUEから、施設全体の電力と年間の電気代を概算します。近日公開
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出典

本文の数字は次の公開資料によります(かっこ内は資料の時点)。見通し・予測は【見通し】、推計や当サイトの換算は【推定】と書いています。

  1. IDC Japan「国内データセンターコロケーション市場予測」(2025年11月19日)
  2. 総務省「令和8年版 情報通信白書」データセンター(2026年)
  3. 総務省「令和7年版 情報通信白書」データセンターの地域分布(2025年7月)
  4. クラウド Watch:富士キメラ総研の市場予測(2026年)
  5. IDC Japan「国内データセンター建設投資予測」(2025年4月7日)
  6. IDC Japan:国内事業者DCの電力容量予測(2025年2月19日)
  7. JLL:大阪圏のDC取引(2026年5月11日)
  8. Real Estate Asia:東京の稼働容量(Cushman & Wakefield, 2025年下期)
  9. Real Estate Asia:首都圏の容量とラック料金(CBRE, 2026年1〜3月)
  10. 東洋経済オンライン:印西の変電所(2025年)
  11. OCCTO「全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)」(2026年1月21日)
  12. Shulman Advisory:OCCTO 2026年版想定の解説(2026年1月)
  13. KPMG:電力需要の見通し(2025年9月)
  14. 第一生命経済研究所:GX2040ビジョンの立地の考え方(2025年)
  15. 経済産業省:ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0(2025年6月12日)
  16. 総務省:ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0の公表(2025年6月)
  17. 経済産業省:GX戦略地域制度(2025年8月26日)
  18. 時事通信(nippon.com):GX戦略地域18地域を認定(2026年9月11日)
  19. 福岡県:GX戦略地域の認定(2026年9月11日)
  20. 北海道新聞:石狩・苫小牧の事業者選定の方針(2026年9月)
  21. 内閣官房「データセンターの立地に関する関係府省連絡会議(第1回)」(2026年9月10日)
  22. 総務省:デジタルインフラ強靱化事業(2026年)
  23. 経済産業省:データセンター地方拠点整備事業 募集要領(2023年9月22日)
  24. ソフトバンク:苫小牧の補助金採択(2023年11月7日)
  25. ソフトバンク:クラウドプログラムの認定(2024年5月10日)
  26. Impress Watch:クラウドプログラム5件の認定(2024年4月19日)
  27. ARES:DCのREIT組入促進(2025〜2026年)
  28. Amazon:AWSの対日投資(2024年1月19日)
  29. Microsoft:日本への29億ドル投資(2024年4月10日)
  30. TelecomTV:Oracleの対日投資(2024年4月18日)
  31. DatacenterDynamics:Googleの日本初のDC(2022年10月)
  32. マイナビニュース:KDDI 大阪堺データセンターの稼働(2026年1月23日)
  33. ソフトバンク:堺の土地・建物取得(2025年3月14日)
  34. ソフトバンク:北海道苫小牧AIデータセンター(2026年)
  35. クラウド Watch:さくらインターネット石狩のGPU整備(2025年6月)
  36. クラウド Watch:石狩のBlackwell GPU稼働(2026年2月)
  37. ブロードバンドタワー:石狩再エネデータセンターとIOWN(2026年4月13日)
  38. NTTデータ:京阪奈 OSK11 の開設(2026年4月9日)
  39. NTTデータ:東京 TKY11 / TKY12(2026年4月17日)
  40. ビジネスネットワーク:NRT14の開業(2026年4月8日)
  41. 熊本日日新聞(共同):秋田のAI向けDC構想(2026年8月6日)
  42. 秋田魁新報 社説(2026年9月2日)
  43. 熊本日日新聞:薩摩川内のAI向けDC(2026年7月18日)
  44. データ・マックス:糸島のDC計画(2025年)
  45. 日本アジア投資:双葉町の分散型AIデータセンター(2025年10月7日)
  46. MONOist:三井不動産のDC事業(2026年7月24日)
  47. 経済産業省 制度設計WG資料:印西・白井エリアへの申込集中(2025年)
  48. 国土交通省資料(内閣府 規制改革WG提出):建設業の就業者(2025年5月8日)
  49. Japan Times:昭島のDC開発への住民の請願(2024年7月10日)