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ryokan / data review

倒産89件・休廃業178件、事業承継「進んでいない」3割——旅館業界を数字で見る現在地

A-RYO-02|初版 2026-07-24|改訂 2026-07-24

読了 約7分 | 数値は出典つき(文末に明記)

「訪日客はこんなに増えているのに、なぜ旅館の倒産が増えているのか」。帝国データバンクが2026年2月に公表した調査によると、2025年の宿泊業倒産は89件で前年の78件を11件上回り、2年連続で増加しました。休廃業・解散178件を加えると、年間267件の宿泊事業者が市場から退出しています(出典1)。インバウンド需要が過去最高水準で推移する一方で退出が増えるという逆説の背景には、老舗旅館特有の構造的な課題があります。本記事は公的機関の公開データをもとに、感覚ではなく数字で旅館業界の現在地を確認します。

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1. 倒産89件・休廃業178件——2年連続の増加、地方が75.3%

帝国データバンクの集計(負債1,000万円以上・法的整理)によると、2025年の宿泊業倒産は89件で、前年の78件を14.1%上回り、2年連続の増加となりました(出典1)。倒産・廃業の発生地域を見ると、首都圏・京阪神・中京の三大都市圏を除く「地方」が75.3%を占め、これは2022年以来3年ぶりに7割台に達し、コロナ禍前の2019年(77.2%)に迫る高い水準です(出典1)。大都市圏に比べてインバウンド需要の恩恵が限定的な地方の中小規模旅館で、倒産・廃業が目立っています。

倒産・廃業に占める「地方」の比率(2025年・出典1) 2025年 75.3% 2019年(コロナ前) 77.2%
図: 宿泊業の倒産・廃業に占める「地方」の比率出典: 帝国データバンクをもとに当サイト編集部作成

2. 倒産要因の変化——「老朽化」倒産が直近5年で14.6%に増加

倒産要因が判明した宿泊業を分析すると、「老朽化」「修繕」「故障」などが要因に含まれるケースは直近5年間で58件・14.6%に達し、コロナ前後の2016〜2020年(13.0%)、震災直後の2011〜2015年(8.9%)と比べて増加傾向が続いています(出典1)。訪日客が「高単価・高付加価値」を求める傾向を強めるなか、最新設備を備えた施設に資本と人材が集中する一方、コロナ禍で悪化した財務体力から老朽化した設備を修繕できない旅館が退出する「経営の二極化」が鮮明になっていると帝国データバンクは指摘しています(出典1)。

3. 事業承継「したいが進んでいない」3割、後継者不在で廃業検討1割

帝国データバンクが集計する倒産件数は、氷山の一角に過ぎない可能性があります。観光庁が実施した事業承継等の検討状況に関するアンケート調査によれば、旅館・ホテル経営者の約3割が「事業承継をしたいが進んでいない」と回答し、約1割が「事業承継をせずに廃業を検討している」と答えています(出典2)。業績が黒字であっても後継者が見つからず閉じざるを得ない、いわゆる「黒字廃業」が地方の老舗旅館で目立っているとみられます。

4. 結論——省人化投資と事業承継の準備、両輪で動く局面

人手不足への対応(省人化投資)と、後継者問題への対応(事業承継の準備)は、別々の課題に見えて実は同じ根っこを持っています。ベテランの女将・仲居が持つ「おもてなしの勘」を記録し次世代へ引き継ぐ準備をしている旅館ほど、承継の相手(親族外承継・M&A・大手ブランドとの提携等)にとっても価値が伝わりやすくなるためです。現実的な選択肢は、①女将・仲居の勘所を言語化して属人化リスクを下げる(棚卸しチェックリスト参照)、②自動チェックイン機・配膳ロボット等の省人化製品のできることとできないことの線引きを理解する(AI活用の記事参照)、③観光庁の省力化投資補助事業を自社の投資計画に落とし込む(4ステップの記事参照)の3方向です。

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出典

(2026年7月24日閲覧)

  1. 株式会社帝国データバンク「『宿泊業』の倒産・休廃業解散動向(2025年)」2026年2月6日公表(倒産件数・地域別比率・老朽化倒産の割合・経営の二極化に関する分析) tdb.co.jp
  2. 観光庁「事業承継等の検討状況」アンケート調査結果(「アフターコロナ時代における地域活性化と観光産業に関する検討会」関連調査。数値はHotelBank「老舗旅館の事業承継危機——倒産89件・後継者不在3割の構造と生き残り条件」2026年4月30日が同調査を引用して報じたものを参照) hotelbank.jp

※「3方向」という整理は当サイト編集部の分析であり【推定】、観光庁・帝国データバンクの公式見解ではありません。

最終更新: 2026-07-24 | 参照した一次情報: 2件 | 本記事の推定値には【推定】を明記しています | 誤りのご指摘はお問い合わせ


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