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food processing / method
A-SHO-03|初版 2026-07-18|改訂 2026-07-18
配合表はある。手順書もある。それでも「同じレシピなのにあの人が作ると味が決まる」現象は、多くの食品工場で起きています。理由は単純で、配合表に書いてあるのは「標準状態での正解」だけであり、ベテランの価値は「標準から外れたときの補正」にあるからです。原料ロットの水分が違う日、気温と湿度が違う季節、仕込み量が半端な日——そのたびに行われる小さな加減こそが「配合の勘」の正体です。
「ベテランのやり方をマニュアルにしよう」という取り組みの多くは、標準手順を清書して終わります。しかし標準手順はすでに配合表にあるので、新しい情報はほとんど増えません。一方でベテランに「勘のコツを書いてください」と白紙を渡すと、「様子を見て加減する」「ちょうどいい固さになるまで」といった、本人には自明でも他人には再現不能な言葉が返ってきます。これはベテランが不親切なのではなく、補正の判断は「状況とセット」でしか思い出せないからです。だから記録の型は、状況を先に固定する構造にする必要があります。
ベテランの「配合の勘」を記録に落とし込む型を確認した直後、レシピ標準化の実務書で若手への引き継ぎを補強しておくと安心です。
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補正が起きた日に、その場で次の4点を1枚に記録します。ポイントは「毎日全部書く」のではなく、標準から外れた日・いつもと違う操作をした日だけ書くことです。例外の日にこそ勘が発動しているからです。
ベテラン本人に記入を求めると、現場が忙しい日ほど記録が飛びます。そして補正が起きるのは忙しい日です。現実的な運用は、若手が聞き手になり、補正が起きた直後に4点セットの順で質問して代筆することです。「今日は何が違ったんですか」「どこを見てそう思ったんですか」——この聞き書き自体が最良のOJTになり、若手の頭に「ベテランが見ている変数の一覧」が作られていきます。録音してあとで清書する形でも構いません。
4点セットが20〜30枚たまると、条件→操作の対応表、つまり「こういう日はこうする」の事例集ができます。若手には結果を隠して「この条件ならどう補正するか」を先に答えさせ、ベテランの操作と見比べる練習台に使えます。さらにこの記録は、将来センサーやAIで配合支援を検討する際の教師データの原型にもなります。逆に言えば、この記録がない状態でAI化の相談をしても、ベンダーに渡せるデータが存在しないということです。道具より先に、記録の型。順番を間違えないことが、最も安い技能伝承投資です。まず自社のどの領域に暗黙知が濃いかを知りたい方は官能検査の暗黙知棚卸し10項目からどうぞ。
視座ステージ診断(無料・約7分・登録不要)— いま何を見て働いているかを20問で確かめる →本記事は配合・調合業務の一般的な実務課題にもとづく独自の記録フォーマットの提案であり、特定企業の事例は含みません。記録枚数の目安(20〜30枚)は経験則にもとづく目安です【推定】。