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paint contracting / data review
A-TOS-02|初版 2026-08-13|改訂 2026-08-13
「塗装業は人手不足と言われるが、実際どうなのか」。国土交通省が毎年公表する建設業許可業者数調査を確認すると、意外な数字が見えてきます。令和8年3月末現在、塗装工事業の許可業者数は76,657業者。前年度比2,064業者(2.8%)増加し、29の建設業許可業種の中で解体工事業に次いで2番目に高い伸びを記録しました(出典1)。平成12年3月末時点の36,896業者と比べると+107.8%——建設業許可業者の総数がこの26年間でピーク比▲19.5%まで減少している中(出典1)、塗装工事業は数少ない「増え続けている業種」のひとつです。本記事は、この一見矛盾した現在地を、国土交通省・日本建設業連合会・業界専門メディアの公開情報だけで数字を追って整理します。
許可業者数の推移の数字を確認したところで、塗装工事業の経営環境そのものの基礎を体系立てて確認しておくと、この先の議論が追いやすくなります。
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塗装工事業許可業者数は平成12年36,896業者→令和8年76,657業者へと26年間で107.8%増加しました。同じ期間、建設業許可業者の総数はピーク時(平成12年3月末)比▲19.5%、業種別でも建築工事業▲37.8%、造園工事業▲31.3%と多くの業種が減少する中、塗装工事業・とび土工工事業・解体工事業など一部業種は増加を続けています(出典1)。船井総合研究所の分析記事は、この増加の背景を「下請けメインの塗装職人会社の独立」「個人職人のポータルサイト集客からの法人化」「他業種リフォーム会社の参入」「大手資本の参入」という4つの属性の流入で説明しています(出典2)。つまり業者数の増加は、需要拡大だけでなく参入障壁の低さの裏返しでもあります。
船井総合研究所の分析記事は、外壁塗装業界の人材採用難について「応募者の多くが50歳以上に偏り、高所作業という危険要素もあって採用をためらう企業が多い」と指摘しています(出典2)。加えて、建設業界全体では55歳以上就業者の割合が約34%、29歳以下は10.8%という極めて低い数値になっているとも同記事は述べています(出典2・塗装業単体の公的統計としてではなく建設業界全体の参考値として引用されているため【推定】扱いとします)。日本建設業連合会が総務省「労働力調査」をもとに公表する最新データでは、2025年の建設業就業者数は478万人で、1997年のピーク685万人比69.8%まで減少し、55歳以上が約37%・29歳以下が約12%という高齢化が「全産業と比べ著しく高い」水準にあるとされています(出典3)。業者数(企業数)は増えても、そこで働く職人の頭数と若返りが追いついていない——これが「業者は増えているのに人が足りない」という一見矛盾した現在地の正体です。
船井総合研究所の分析記事は、外壁塗装業界の3つの課題として「人手不足」「利益が残らないこと」「集客の厳しさ」を挙げています(出典2)。特に大手業者やポータルサイト経由の下請け受注に依存する塗装工事店は、発注元にマージンを取られたあとの薄利な仕事しか受注できず、自社に利益が残らない構造に陥りやすいと指摘されています(出典2)。利益が残らなければ賃金は上がらず、賃金が上がらなければ若手は採用できない——この負のサイクルが、業者数の増加とは裏腹に人材の定着を妨げている構造的な要因です。
塗装工事業は、許可業者数だけを見れば26年で2倍以上に成長した数少ない建設業種です。しかしその内実は、下請け構造からの独立・法人化という参入のしやすさに支えられた増加であり、現場を支える職人の高齢化・定着難という別の課題は他業種と同様、あるいはそれ以上に深刻です。「業者数」と「職人の頭数」という2つの数字を分けて見ることが、自社の採用戦略・値付け戦略を考える出発点になります。AI×ドローンによる外壁診断が現場にどこまで浸透しているかは、次の記事で整理します。
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※55歳以上34%/29歳以下10.8%という数値は船井総合研究所の記事内で建設業界全体の参考値として言及されているもので、出典元の一次統計は同記事内に明記されていないため【推定】として扱っています。日本建設業連合会の55歳以上約37%/29歳以下約12%(総務省労働力調査ベース)とは調査時点・母集団が異なる可能性があります。
最終更新: 2026-08-13 | 参照した一次情報: 3件 | 本記事の推定値には【推定】を明記しています | 誤りのご指摘はお問い合わせへ