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事業者数62,383・有効求人倍率2.66倍——トラック運送業界を数字で見る現在地

A-UNS-02|初版 2026-08-11|改訂 2026-08-11

研究の問い: トラック運送業界の人手不足は、他業種と比べてどの段階にあるのか。

公的統計・公開データに基づく整理(出典は文末)

「トラックドライバーは足りない」という話は繰り返し聞きますが、実際にどの程度の需給差があり、事業者側の構造はどうなっているのか。感覚論ではなく、公的統計で現在地を確認します。

読み進める前に、トラック運送・配車管理の実務を体系的に押さえておくと、現場での判断がしやすくなります。

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1. 事業者数62,383——うち91.3%が一般貨物、車両30両以下が85.4%を占める中小構造

国土交通省の集計によれば、貨物自動車運送事業者数は令和7年3月31日現在で62,383事業者です(出典1)。内訳は、一般貨物自動車運送事業者56,954事業者(全体の91.3%)、特定貨物自動車運送事業者4,799事業者、特別積合せ貨物運送事業者323事業者などとなっています(出典1)。車両保有台数別にみると、10両以下の事業者が54.8%、11〜20両が21.1%、21〜30両が9.5%を占め、30両以下の中小事業者が全体の85.4%に達します(出典1)。なお一般貨物自動車運送事業者数は2022年3月末時点で57,856事業者と過去最多を記録した後(出典2)、令和7年3月末には56,954事業者とやや減少に転じており、新規参入と退出がせめぎ合う局面にあることがうかがえます【推定】。

一般貨物自動車運送事業者数の推移(出典1・2) 2022年3月末(過去最多) 57,856事業者 令和7年3月末(現在) 56,954事業者 3年間で▲902事業者 (約▲1.6%)
図: 一般貨物自動車運送事業者数の推移比較出典: 国土交通省の集計・カーゴニュース報道をもとに当サイト編集部作成

2. 有効求人倍率2.66倍——全職業平均の2倍を超える需給差

厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和8年4月分、令和8年5月29日公表)によれば、配送ドライバーの有効求人倍率は正社員(フルタイム)で2.66倍、パート等を含む全雇用形態で2.40倍です。同時期の全職業平均は正社員1.12倍・全雇用形態1.02倍にとどまっており、配送ドライバーの有効求人倍率は全職業平均の2倍を超えています(出典3)。これは「1人の求職者を約3社が奪い合っている」状態に近く、正社員採用だけに頼った人材確保の難しさを示す数字です【推定】。

3. 改善基準告示2024年4月改正——拘束時間・休息期間のルールが厳格化

いわゆる「物流の2024年問題」の中核にあるのが、2024年4月1日に改正・施行された「改善基準告示」です。拘束時間は原則として1年3,300時間以内・1か月284時間以内(労使協定により1年3,400時間以内・1か月310時間以内〔年6か月まで〕まで延長可)とされました。1日の拘束時間は改正前の「原則13時間以内・延長時最大16時間」から、改正後は「原則13時間を超えない・延長時最大15時間」に短縮されています。休息期間についても、改正前の「継続8時間以上」から、改正後は「継続11時間以上を基本とし、継続9時間を下回らない」へと引き上げられました(出典4)。1人あたりが運べる輸送量が減る中で、限られた時間で便をどう組むかという配車の精度が、これまで以上に経営に直結する局面に入っています。

4. 軽貨物(黒ナンバー)が10年で42.3%増——供給構造の変化

e-Stat「自動車保有車両数」を出典とする集計によれば、営業用の軽自動車四輪(黒ナンバー)の保有台数は2015年11月末の229,027台から2025年11月末には326,033台へと、10年間で42.3%増加しました。一方、同じ営業用の小型車四輪(主に1〜2t車等)は72,853台から71,046台へと2.5%減少しています(出典5)。正社員雇用の有効求人倍率が高止まりする一方で、個人事業主として軽貨物配送に参入する層は着実に増えており、供給力の中心が正社員雇用から軽貨物の個人事業主へと移りつつあることがうかがえます【推定】。

5. まとめ——数字が示すのは「仕事は減らないが、担い手の組み方の再設計が必要」という現実

事業者数は緩やかに減少し、正社員ドライバーの採用倍率は高止まりする一方、軽貨物という新しい供給チャネルは拡大しています。これは荷物が減ったのではなく、限られた人と時間でどう配車を組むかという局面に業界全体が入っていることを示しています。次の記事では、実際に運送業界で使われ始めているAI運行管理・配車マッチングサービスについて、できること・できないことを整理します。

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出典

(2026年8月11日閲覧)

  1. 国土交通省 物流・自動車局貨物流通事業課 貨物自動車運送事業者数集計表(令和7年3月31日現在。事業者数62,383事業者〔一般56,954・特定4,799・特別積合せ323等〕、車両保有台数別構成〔10両以下54.8%・11〜20両21.1%・21〜30両9.5%〕) mlit.go.jp(PDF)
  2. カーゴニュース「トラック事業者数、一般は過去最多の5万7856社」(2022年12月1日号。国土交通省公表の2022年3月末現在データに基づく報道。一般貨物自動車運送事業者数が前年度末より375社多い57,856社で過去最多、車両保有台数10台以下54.7%・30台以下85.4%を占める旨を報道) cargo-news.co.jp
  3. 株式会社ロジクエスト「ドライバーの有効求人倍率から分析する採用難の正体」(2026年5月29日更新。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年4月分)」「同(令和8年3月分及び令和7年度分)」を出典として、配送ドライバー正社員有効求人倍率2.66倍・全雇用形態2.40倍、全職業平均正社員1.12倍・全雇用形態1.02倍を掲載) logiquest.co.jp
  4. 北海道労働局「トラック運転者 改善基準告示(2024年4月1日適用)に関するQ&A」(拘束時間・休息期間の改正前後の基準を掲載) jsite.mhlw.go.jp(PDF)
  5. 株式会社ロジクエスト「軽貨物(黒ナンバー)の保有車両数の推移データ」記事内、e-Stat「自動車保有車両数」を出典とする集計(2026年3月27日公開。営業用軽自動車四輪2015年11月末229,027台→2025年11月末326,033台〔+42.3%〕、営業用小型車四輪72,853台→71,046台〔▲2.5%〕) logiquest.co.jp

※出典3・5は国の一次統計(厚生労働省・e-Stat)を引用した第三者記事であり、当編集部は一次統計そのものへの直接アクセスでは同じ数値を確認できていません。正確な値は厚生労働省・e-Statの公式発表でご確認ください。事業者数の増減傾向・供給構造シフトに関する解釈部分は当編集部の推定であり【推定】を付しています。

最終更新: 2026-08-11 | 参照した一次情報: 5件 | 本記事の推定値には【推定】を明記しています | 誤りのご指摘はお問い合わせ


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